今回の台風14号、今朝、福岡市を通過しました。歴史的な勢力と言われてたわりには、少なくとも福岡市では大きな被害は出ていないようです。ホット一安心です。
が、当社の場合、沖縄から北海道まで土地を抱えており、今回のように日本縦断の進路を取られると、非常に不安になります。一番心配なのがこの溜池。和歌山県日高郡の物件です。この池の下に民家が一つありまして、万一、池が決壊してしまうと大量の水が民家に流れ込むことになります。
万一、決壊していまい、隣地に被害を与えた場合の所有者の責任について今回は考えてみます。
なお、私は法律家でありませんので、あくまでも素人の考えです。
土地所有者の民法上の責任(工作物責任)
まずこの場合の責任とは民法上の責任となります(刑法上の責任は当然ありません)。
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
民法第717条 (土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
工作物とはこの場合でいうと池が決壊しないような堤や擁壁を指します。あるいはお家も工作物です。放置してた空き家の瓦が飛び、人に怪我をさせたといった場合、その所有者に損害賠償責任が発生します。
ただし注意すべきは「工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたとき」と限定されていることです。もし瑕疵がなければ(通常考えられる安全対策が取られていた場合)責任は生じないことになります。
自然災害が起こり、周辺一帯の建物が倒壊した場合等は、瑕疵による倒壊とは考えにくいため責任が生じない可能性が高いです。
いわゆる「工作物」がない場合の責任
それでは工作物(何か人工的に作ったもの)がない土地の場合はどうなるでしょうか。
例えば、自分で植栽した木が倒れた場合、この木は工作物に該当します。一方で何十年も放置してた山林の樹木が倒れた場合、これは民法上にはっきりした規定がありません。
国有林のブナの木(約7m)が遊歩道に落ちてきて、観光客に直撃し大怪我をした。
こういう事件が起きました。ブナの木は天然木です。国が植えたわけではありません。が、東京高等裁判所は国の管理不足だったとして、国に損害賠償責任があるとしました(東京高裁平成19年1月17日)。
裁判所の考え方はこうです。ブナの木を誰が植えたものであれ、そこは関係ない。観光客からしたら遊歩道に突然大木が落ちてきて怪我をした。観光客にまったく落ち度がない以上、きちんと管理していなかった土地の所有者に責任がある、というものです。
土地の所有者からすると過度に責任を負わされてる気がしますが、土地の所有者よりも被害者を保護するのが民法第717条の趣旨とされていますので、致し方ないところかもしれません。
したがって、工作物であろうとなかろうと、その土地上のものによって(土地そのものも含む)他人に損害を与えた場合、土地の所有者に責任が発生するというのが大原則となります。
ただし自然災害等の原因により、その土地だけでなく周囲一体が土砂崩れを起こした場合等は、例外的に責任が発生しない場合がある、ということになります。
土地の所有にはこうした大きなリスクが隠されており、今回のような大きな台風が来ると、当社としては非常に心配になります。。。。。
*トップの写真は当社でお引取りした北海道の物件です。雪の重みでお家が潰れています。こうした廃棄資材が風で飛び他人に怪我をさせたという場合も、当然所有者の管理責任が問われます。
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