土地放棄の法制化の解説とまとめ

やまねこ不動産は所有権放棄サポートを行う日本で唯一の専門宅建業者です。お困りの土地の所有権を当社が有料にてお引取りするサービスをご提供しています

土地の放棄を可能とする「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」が第204回国会ににて成立しました。今回はこの法律案の中身の解説、また、当社の土地放棄サポートサービスとの比較を行ってみます。全文の解説ではなく
1、どういう条件を満たせば土地の放棄が可能なのか
2、どのくらいの費用がかかるのか
を中心に法律条文にそってピンポイントで解説します。最後にわかりやすく表でまとめてます。

1、土地の放棄申請ができるのは相続人だけ

1、相続した土地の所有者
2、相続した土地の共有者

土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。この場合においては、同項の規定にかかわらず、その有する共有持分の全部を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部又は一部を取得した共有者と共同して、承認申請をすることができる。

1はそのまんまです。何十年も前に買った土地がいらなくなったからと言って放棄申請はできません。あくまでも相続によって取得した人のみです。なおここでいう「相続による取得」とはきちんと相続登記を行わなければなりません。法定相続人が私だけなので私が所有者です〜は通らないことになります。

2は解説が必要です。土地Aを3人(B、C、D)が相続したとします。この場合、3人が共同で放棄申請を行うことができます。「共同」というのは3人全員の同意がいるという意味です。Bが単独でBの持分だけ放棄申請を行うことはできません。
ではB第三者のEに自分の持分を売却した場合、Eはどうでしょうか?Eは相続によってではなく売買によって土地Aの所有者となりましたが、Bの地位を引き継ぐことができます。したがってEも他の共有者と共同であれば放棄申請を行うことができます。

2、放棄申請できない土地

一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

(第二条)

1、建物があってはいけません。建物は解体できますからそもそも放棄の対象にはなりませんが、建物があれば解体して更地とされた土地のみです。もちろん建物がなければこの条件に合致します。

2、一番多いのが抵当権です。古い土地には昔の正体不明の抵当権がそのままついていることがありますが(昔すぎて抵当権の抹消ができない?!)、そういった場合、所有者で抹消手続きを行わないといけません。

3、そのままです。通常はありません。

4、土壌汚染。これは土壌汚染調査をして土壌汚染されていないことを証明する必要がある、という意味ではありません。何らかの理由で土壌汚染されていることが明らかな場合は、放棄申請ができないという意味です。ただし、元クリーニング工場やガソリンスタンド等、土壌汚染が一般的に疑われる場合は、あらかじめの土壌汚染調査が求められる可能性あります。

5、境界の確定。これが一番やっかいです。ほぼ全ての土地の当てはまってきます。いわゆる確定測量を行い境界を明示しなければなりません。これは個人では行えず土地家屋調査士に依頼することになります。通常の宅地の場合で40万円〜60万円、山林となると100万円を軽く越えてくることがあります。
確定測量とは隣地所有者との立ち会いにより境界を確定させることです。隣地所有者が見つからない場合、確定測量が行なえなくなります。また、そもそも土地の場所が不明なことも多く、その場合、別途現地調査費用が発生することもあります。
この第5項が土地によってかなり高いハードルとなっています。

3、土地放棄の申請手続きの流れ

この5項目の条件を満たせば、1の人は法務大臣(法務省)に対して土地放棄の申請を行うことができます。
必要なのは申請者の住所、氏名。それと土地の所在がわかるもの(謄本、現地地図等)、地積です。地積は上記確定測量の面積ということになります。申請自体はそう難しくありません。

申請が承認されると、審査や現地調査が行われることになります。申請段階でこの審査や現地調査の費用を納める必要があります。費用は「物価の状況、承認申請に対する審査に要する実費その他一切の事情を考慮」して決定されます。これがどのくらいの額を想定しているのか、わかりかねます。推定では数万円ではないでしょうか。

4、土地放棄の承認の基準

申請書に必要書類と調査費用を納めると、申請自体は受付けられます。
が、ここから放棄申請を承認するかどうかのまた別の基準があります。

一 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
二 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
三 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
四 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
五 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

(第5条)

1、崖(がけ)とはごく簡単にいうと30度以上の傾斜地です。いわゆる「がけ条例」に該当し、かつこのままでは危険で擁壁工事が必要だと判断されるとアウトになります。

2、こここが一番きつい条件なのですが、樹木が生い茂ってたりするとアウトです。通常の管理に支障のないレベルで木が数本植わってるというのはOKなのですが、倒木や隣地越境の可能性があるとみなされると国の管理費用が跳ね上がりますのでアウトとなります。
樹木の伐採ってすごくお金がかかります。まず現地まで重機を運ぶところからお金がかかります。そしてそもそもその土地にいたる道がないとかになると実質その土地だけの伐採は無理です。当社のお客様が一度別荘地の伐採を業者に頼んだところ見積りが70万円でした(200坪)。

3、4、5は通常の場合は特に問題ないかと思います。

5、承認後の負担金

以上の審査を得て土地の放棄が承認されると最後に負担金の納付があります。

承認申請者は、第五条第一項の承認があったときは、同項の承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の金銭(以下「負担金」という。)を納付しなければならない。(第10条)

「その管理に要する十年分の標準的な費用の額」がはっきり何を指すか不明ですが、もしその土地を所有していた場合にかかる費用と考えると、10年分の固定資産税および例えば草刈りとかそのへんの管理費用を換算するのだと思われます。固定資産税が1万円とすると10万円。草刈り1回2万円×10年=20万円。合計30万円です。固定資産税がかかっていないとしても20万円はかかると推測されます。

6、農地も放棄可能?!

土地の地目が「田」や「畑」といった農地の場合、そのままでは所有権移転登記が行えません。
ところが国による土地の放棄制度はその縛りが明確には書かれていません。

法務大臣は、第五条第一項の承認をするときは、あらかじめ、当該承認に係る土地の管理について、財務大臣及び農林水産大臣の意見を聴くものとする

(第8条)

農地に関連する規定はこの部分です。土地の条件に土地の地目が書かれていないのです。したがって基本的にはそのまま売買できない農地であっても、国の制度を使えば放棄できる可能性があります。

以上が2023年度に施行予定の土地の放棄制度の重要ポイントでした。

6、当社サービスとの料金比較

次に当社がご提供する土地放棄サポートサービスとの料金比較をしてみます。
なお、国の制度は開始されていないため、料金は推定です。

国の土地放棄制度料金当社の土地放棄サポートサービス料金
建物建物は解体する必要150万円〜そのままでOK(中の荷物もそのままでOK)無料
確定測量必須50万円〜必要なし無料
樹木伐採場合によっては必要50万円〜必要なし無料
調査費用必須10万円〜必要なし無料
管理費用必須20万円〜管理費はいらないが基本料金必要35万円〜
or
固定資産税×30年分
登記費用等必要なし無料必須(所有権移転登記+不動産取得税相当分)10万円〜
抵当権抹消抵当権ある場合は必須10万円〜抹消が困難な場合は抹消の必要なし10万円〜
農地場合によってはOK農地は対象外(地目変更ができれば可)

国の土地放棄制度で必須金額が、確定測量(50万円)、調査費用(10万円)、管理費用(20万円)です。あくまでも推定ですが合計80万円となります。確定測量が50万円で済むのは通常の宅地の場合です。山林等になると100万円を越えますので、最低金額も跳ね上がります(確定測量ができないこともあります)。
一方、当社サービスの場合は最低金額が50万円(固定資産税が1万円未満のもの)。登記費用は必要ですが、確定測量が必要ありませんのでその分かなりのコストダウンができます。ただし、当社は固定資産税が1万円を越えるものは30年間分の固定資産税相当額を基本料金としています。例えば2万円/年ですと60万円が基本料金となります。諸経費あわせてざっくり80万円。このあたりまでですと当社サービスのほうが安くおさまります。

料金の比較をまとめますとこうなります。

・建物がついてたり、山林の場合→当社サービスが断然お得
・固定資産税が1万円未満のもの→当社サービスが断然お得
・固定資産税が1〜2万円→当社サービスがお得
・固定資産税が2万円超える→国のほうが安い可能性あり
・農地→国のみ(可能性)

7、土地放棄の法案の趣旨は、皆様の救済ではありません

これはあくまでも料金だけに絞った比較です。国の土地放棄制度の利用にあたっては、かなり手間暇のかかる手続き、そして時間、さらにはお金かけて申請したものの審査が承認されないリスクもあります。10年分の管理費用等不透明な金額も多く、客観的に見てこれを利用する人が実際にいるのだろうかというレベルです。

そもそもこの法案の趣旨は以下の通りです

この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。

第1条

そう、この法案の趣旨は処分できない土地で困ってる人を救済するという目的ではないのです。国の本丸は所有者不明土地の増加を抑制することです。この法案とセットになってるのが相続登記の義務化です。相続登記しない人がいるため所有者不明土地が増えるのです。そこを強権的に罰則付きの義務化としたため、そのアメとして土地を放棄できる制度を制度としてつくったに過ぎません。
国が積極的にこの制度を利用してもらいたいなら、確定測量なんかする必要ありませんよね?周りに人がいないのですから、境界をめぐるトラブルも本当は何もないのです。
国や行政にしても個人が所有していればそれだけで固定資産税が入ってきますし、管理に多大なコストのかかる土地をあえてもらいたくはないですよね。
この法案の厳しい条件を見る限り、国の本音はそこにあると当社は判断しています。

国民目線でこの法案を見た時、唯一評価できるのは農地の放棄です。当社へのご相談も3割くらいは農地のご相談です。農地の場合、非農地証明書が取得できれば当社への移転登記が可能なのですが、けっこうハードルが高く、当社でも頭を悩ませていました。都市に住む人が遠方の田んぼとか相続してもどうしようもありません。そこを放棄できるのならば、その点は画期的な制度だと思います。

8、当社サービスのここがすごい

最後に当社サービスの宣伝です(笑)。当社は国と違い、土地の処分に困っている方の悩み解決を目的としています。そのため、お客様にとって多大な負担となる、確定測量や樹木の伐採、また建物の解体、荷物撤去等はして頂く必要はありません。現況のままで当社がお引取りしています。
例えば、お客様の実際のご相談をヒントに、抵当権の抹消義務もなくしました。明治時代の古い抵当権が残っていたりすることがあり、その抹消手続きはお金も時間もかかります。抹消ができないことすらあります。
あくまでもお客様のお悩み解決が目的ですので、どんなお悩みもできうるかぎり柔軟に対応させて頂きます。

ご相談、お見積りご依頼は完全無料です。お見積りだけでもいいですか?という方もたくさんいらっしゃいます。
ぜひ、当社のサービス内容を一度ご覧くださいませ。
土地の所有権放棄サポートセンター by やまねこ不動産

投稿者プロフィール

溝口 喜郎
溝口 喜郎代表取締役
やまねこ不動産株式会社の代表取締役です。
当社では、処分に困る不動産の所有権を有料でお引取りするサービスをご提供しています。
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3件の返信

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  3. 石田 寛 より:

    伊豆熱川の別荘地を手放したいのですが、相談に乗っていただきたく。

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