所有地の前面道路が位置指定道路の認定を受けた私道となっており、その私道に対してこちらに持分がない場合でも私道を使って問題ないですか、というご質問を受けました。
公道と私道の違い
公道とは、その土地の所有者が国や市町村などの公的機関である道路を指します。
私道とは、その土地の所有者が個人や法人等の非公的機関である道路を指します。
公道は誰でも使用してよく、一方で、私道はそもそも個人の土地ですので誰でも使用できるわけではありません。
時々「私道につき通行禁止」という看板を見かけますが、あれは、「公道にみえるけど私の土地なので勝手に入らないで」という意味で、筋の通った看板といえます。
私道が位置指定道路の認定を受けている場合
さて、問題は私道が位置指定道路の認定を受けている場合です。
位置指定道路とはいわゆる「建築基準法上の道路(原則として幅4m以上)」として認められている「私道」のことです。通常道路といえば公道なのですが、例えば、宅地分譲の際にすべての敷地が接道義務を果たせるようにあえて個人・民間所有の土地を道路として申請を出すことがあります。
所有者は個人であるものの、公的機関が「ここは道路ですよ、維持・管理も公的機関がやりますよ」と宣言している場合、その道は誰でも自由に使用できるのかどうか、という問題になります。
結論からいうと私道は私道ですので誰でも自由に使用できるわけではありませんが、普通の私道に比べると、その私道の所有者側からするとかなり権利が制限されます。
「建築基準法42条1項5号の規定による位置指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する。 」(最高裁平成9年12月18日判例)
私道でも権利者は通行を認められる
要するに、その私道に接する土地に住む人であれば(=道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者)、その使用が、私道の所有者に対してよっぽどのデメリットをもたらさない限り、普通に使ってよろしい。もし私道の所有者がこちらの使用に対して文句を言ってきたらそれに対抗できる権利があるよ、という判例がでています。
したがって、所有地の前面道路が私道であり、その持分がなくても、位置指定道路の認定を受けているのであれば、日常生活上の範囲で特に制限なく使用できることになります。
ただしあくまでも通行の権利が認められているだけで、上下水道の引き込み工事等でその道路を掘削するといった場合は、所有者からの承諾が必要となります。
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