当社サービスを開始して約1年半が過ぎました。お引取りした件数は100件以上になります。一方で当社がお引取りできなかった物件もあります。どういった物件がお引取りできなかったか、今回はそのあたりをご説明します。
端的に言いますとリスクが読めない物件です。当社のお引取り費用は当社がその土地を所有することで負うことになるリスクに比例しています。わかりやすいのは固定資産税や別荘地の管理費用です。当社が所有者になれば毎年固定資産税を支払わなければなりませんので、その分の費用として30年分を基本料金としています。
一方でわかりにくリスクもあります。例えばお家の解体費用です。昨今、放置された空き家が社会問題化しており、行政もそうした空き家に対して指導を行っています。あくまでも「指導」のため強制力はないのですが、指導が入ってるにもかかわらず所有者がそれを放置し、万一それが原因で事件事故が起きた場合、所有者に重い責任が課せられます。
したがって当社も解体指導が入れば建物を解体しなければなりません。本来であれば現地の解体業者さんに見積もりをとってもらえるとそれが一番なのですが、お客様のほうでそれを手配するのは大変な苦労です(私のような商売の者でも見ず知らずの業者さんに電話するのは緊張します)。また、すぐに解体するわけでもないため、見積もりを依頼するのも気が引けます。
ただし、お家の場合はある程度、金額が予測できます。普通サイズのお家の解体で1000万円かかることは通常ありえません。150〜200万円が相場でしょう。なので、固定資産税等に比べてはっきりしないもののある程度のリスクの予測ができますので、空き家があるからという理由だけで当社がお引取りできないということはありません。
一番読めないのが擁壁のある土地です。擁壁とは隣地や道路との高低差がある土地の土留めです。現在はおよそコンクリートの擁壁が基準となっていますが、古い土地などは石組みのものも多いです。この擁壁が大雨や地震等で倒壊した場合、所有者は当然その補修工事あるいは新規に擁壁工事を行わなければなりません。工事で済めばまだいいのですが、万一、倒壊により事件事故が起きた場合、その損害賠償額は数千万円から数億円になることもあります(熱海の土砂災害事故では前現所有者に対して約58億円の損害賠償請求訴訟が現在進んでいます)。
そこまでの額になってしまうと当社で責任が負えなくなりますので、擁壁のある土地はお引取りできないことがあります。もちろん周りに誰も住んでいないとか、擁壁の高さがそこまで高くないといった場合はお引取りできることもあります。
擁壁と同じ理屈で、例えば巨木の生えている市街地の土地や、擁壁はないものの高低差の激しい崖地、土砂災害特別警戒区域等もお引取りできないことがあります。要は万一最悪のことが起きた場合、当社で責任が取れない土地です。
土地の処分に困ってる方のお悩みを解決することが当社の社会的存在意義だと考えています。そのため、実際にお客様に「お引取りできません」と申し上げるのが実に心苦しく申し訳ないのですが、上述の理由により、断腸の思いでお引取りをお断りすることがあります。
ただし、当社がお断りした場合、お客様にとってはおそらく他に方法がなくなることも承知しておりますので、極力当社でお引取りできるように考えています。
一番いいのは「土地保険」ができることです。これは社会的需要もあると思うのですが、現在のところそういった保険がないのが現状です。
投稿者プロフィール
- やまねこ不動産株式会社の代表取締役です。
当社では、処分に困る不動産の所有権を有料でお引取りするサービスをご提供しています。
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