今回は平成29年の事件です。いつものように、国民生活センターに寄せられた実際の事件をもとに読みやすく再構成しています。
自宅に突然電話
佐藤さん(仮名)はもう何十年も前に原野商法で騙されて買ったしまった土地の処分に困っていました。このままいくと、息子がこの土地を相続することになってしまいます。そこに、宅建業者から佐藤さんの自宅に突然電話がかかってきます。
そこでどういうやり取りが行われたのか不明ですが、その2日後に宅建業者が佐藤さんの自宅にやってきます。
「知り合いの東京の作家が佐藤さんの土地を買いたがっている。440万円を現金で支払うから売ってもらえないか」。
話がうますぎる…
もともと佐藤さんはその土地の処分に困っていたので440万円で売れるならこれ以上のいい話はありません。佐藤さんはその申し出を快諾し、その場で契約を交わしました。
ここまではいいのですが、ただ話がうますぎますよね。佐藤さんは本当はタダでもいいから手放したいと考えていた土地です。なぜそれを440万円も出して買う人がいるのか。例えば100万円でも佐藤さんは売っていたはずです。
怪しげな手数料請求
ここから話がいつものように怪しくなってきます。
まず、その翌月にまた宅建業者が自宅を訪れ35万円を支払うように佐藤さんに求めます。名目は登記費用としてです。登記は買主のためにするものですから、通常の不動産の売買契約においては買主が負担するのが原則です。登記費用を売主が負担することは特殊な理由がない限りありえません。
が、佐藤さんにすればタダでも売れないと思っていた土地が440万円で売れるのですから、安い金額だったのかもしれません。佐藤さんは宅建業者の要求通り2日後に35万円を振込みます。
抱合せ販売開始!
そしてここからいつもの「抱合せ販売」が始まります。
宅建業者は次のように佐藤さんを誘います。
「当社の所有する土地を695万円で購入すれば、東京の作家に売った土地の税金が不要になる。さらに、695万円で購入した土地は3、4 カ月後に当社が現金で買い戻す」。
まず宅建業者の言う税金は、不動産譲渡所得税を指します。不動産を売ることで440万円の所得が発生していますのでそれに関する税金のことです。ただこの場合、別の土地を購入してもその税金は払わないといけません。本当は何も関係がない話です。
これは佐藤さんもご存知なかったのかもしれませんが、「3、4ヶ月後に当社が現金で買い戻す」にひっかかったのは佐藤さんにも落ち度があるように思います。そんなわけないですよね。なぜこの宅建業者が佐藤さんの節税対策(本当はそのようにはなりません)のためにそんなことをする必要があるのでしょうか。ありえない話だと佐藤さんは気づかないといけません。
結局、佐藤さんはこの話を鵜呑みにして、最初の440万円の契約の差額220万円を宅建業者に支払い宅建業者の土地を購入してしまいます。
280万円まで被害拡大
佐藤さんは、最初に払った35万円とあわせ255万円を宅建業者に支払い、もともと持っていた土地と宅建業者が持っていた土地を交換したことになります。どちらも本当は無価値の土地ですから、佐藤さんはここまでで255万円を騙し取られています。
さらに、佐藤さんの土地自体は440万円で売れていますから、この所得に対し税務署から25万円の納税が必要だと知らされ、泣く泣く25万円を納税せざるを得ませんでした。
最終的に、合計280万円が佐藤さんの口座からなくなったことになります…
50万円は取り戻せたけど…
ここまでが国民生活センターに対する佐藤さんの申し出です。
国民生活センターは調停に乗り出し、佐藤さんはなんとか50万円を取り戻すことができましたが、宅建業者から買った土地は佐藤さんの所有になったままです。
佐藤さんは230万円を支払い、また新たな売れない土地を抱え、その処分方法に困っていることでしょう。
投稿者プロフィール
- やまねこ不動産株式会社の代表取締役です。
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