2023年度から施行予定の相続登記の義務化。これにより多くの人がかなり迷惑を被るのではないかと予想しています。義務化が施工されるとどんなことが起きるのか予想してみました。
相続登記の義務化の背景
2016年のある調査で、実に九州の面積に匹敵する土地の所有者が不明ということが判明しました。
日本の総面積が377,950㎢、九州の面積が39,597㎢とされていますので、日本の国土の10分の1が所有者が不明なのです。所有者が不明な場合、その土地は国に帰属することになります。もし所有者がいればその人に固定資産税を請求できますし、その土地の維持管理は当然その所有者が責任を負うことになります。その所有者が不明ということで、こうした責任をすべて国が負うことになります。
また、所有者不明だからといってほっといていいわけではなく、行政はその所有者探しにも労力と予算を使っており、国にとって所有者不明土地の解消が喫緊の課題として浮上してきました。
新たな所有者不明の発生を防ぐ
なぜ所有者不明土地ができるかというと、相続登記をみんながやってないからです。都市部の資産価値のある土地は売却したりするためにみんな相続登記を行うのですが、山奥の資産価値0の土地など、相続登記する意味もありません。それが二代、三代と続くと、登記簿上の所有者が明治で止まったままだったりして、結果、その相続人がわからなくなり所有者不明土地が発生するというわけです。
そういう意味では、所有者不明土地の増加を防ぐために、その最大の原因である相続未登記をなくそうと、国が相続登記を義務化したのは合理性があります。
今までのツケを支払わされる現役世代
当社のご相談では、ご本人の祖父の祖父で登記簿が止まっている案件がありました。完全に明治です。今までは最悪ほっといてもそのままになっていたのですが(あわよくば所有者不明土地になっていた)、この場合だと、ご本人が亡くなった後、その相続人は親の祖父の祖父(5代)にわたる相続登記を完了させなければなりません。登記の最後の所有者まで戸籍をさかのぼり、そこから下に法定相続を繰り返していきます。中には亡くなっている方や海外に行ってる方もいるはずです。結果、費用も時間も多大にかかります。知り合いの司法書士は相続登記を完了させるのに最高で5年、金額で100万円をこえたそうです。
そしてこういう相続登記をちゃんとしていない土地は日本に無数にあるのです。
実効性に疑問
土地を売るには必ず相続登記をしなければなりません。登記簿上の所有者が死者のままだと買主への所有権移転登記ができないからです。なので売れるような土地はそもそも相続登記はするんですよね。
逆に資産価値0みたいな土地はそもそも相続登記する動機がありません。そこでそれを義務化しようとしているのですが、果たして何十万円、下手すると100万円超える費用を払って相続登記する意欲がわくでしょうか。
相続登記を怠った場合、10万円の科料が科せられることになっていますが、これはスピード違反のように「スピード違反したら、はい、罰金」のようなものではなく、あくまでも抑止力的なものとか推察しています。場合によっては、上記のように相続登記に多大な費用と時間がかかる場合があるからです。となればその実効性には大いに疑問符がつきます。
根本的な解決策
本題からずれますので簡単に書くと、所有者不明土地を減らすには、土地の価値を上げるしか方法はないと思います。そのためには土地の需要を上げるしかなく、となれば日本の人口を増やす、すなわち移民の全面受け入れが唯一の方法かと思いますが、ここに踏み出すには課題が多いでしょうね~
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