今回は平成29年に起きた相続した山林にまつわる詐欺事件です。いつものように、国民生活センターに寄せられた実際の事件をもとに読みやすく再構成しています。
相続した山林の処分に困っていたところに
山本さんは亡きお父さまから相続した山林の処分に困っていました。そこへ東京の不動産会社から自宅に電話がかかってきます。山本さんが処分に困っていた山林を売却しないかという電話でした。
まずは30万円からスタート
後日、不動産会社の社員が山本さんの自宅を訪問します。山本さんの土地を350万円で購入したい人がいる、まず仲介手数料の一部30万円を支払ってくれと。
まずこの時点で一発で詐欺です。買主がどういう人かもわからずに、仲介手数料を請求するなど普通の仲介業者ではありません。通常の売買では、売買契約を交わした時に仲介手数料の半金、最終的なお引渡しの時に残金を支払うのが一般的です。また、仲介手数料を支払うにあたっては、まず媒介契約書というのを仲介業者とかわします。なにもないところから30万円を請求することはありません。
減税名目で143万円
が、山本さんは相手の言うままに30万円を支払ってしまいます。
すると翌月、不動産会社から「土地を売却すると180万円の税金がかかる、こちらで143万円に減額できるので先に143万円を支払ってほしい」と連絡があります。
土地を売却した場合、不動産譲渡所得税が発生することがあります。それは本当なのですが、仲介業者がそれを自由に減額できたりは当然できません。また、譲渡所得税を支払うのは実際に売却した翌年の確定申告時です。山本さんの場合、まだ売買代金ももらっていません。不動産会社の言っていることはまったくのデタラメです。
なぞの権利書が届く
ここからさらにデタラメさが加速していくのですが、今度は不動産会社が、山本さんの山林と同一地域の土地「不動産登記権利情報(権利書)」を持ってきます。他人のものなのでなくしたら大変、山本さん、一時預かってくれませんか」と。
そんなわけないですよね。なんでそんな大切なものをアカの他人の山本さんに預けたりするのですか。
が、山本さんはこれを大切に金庫にしまったそうです。
もうやりたい放題
さらに、いま80万円を支払ってくれれば山林の売却代金350万円を持ってくると言われ山本さんはまた払ってしまいます。さらにその数日後、同じ名目で今度は100万円を請求されこれも払います。
もう完全におかしいですよね。売主はお金をもらう方なのに山本さんは支払うばかりです。
詐欺にようやく気づく山本さん
この時点で山本さんは353万円を不動産会社に支払っています。本当は350万円で山林を売るつもりだったはずです。そう、実は山本さんは353万円を支払い、もうひとつの土地、山本さんが権利書を預かった土地を買う契約を交わしていたのです。
最後、相続税名目で20万円をさらに請求されたところで、山本さんは支払うお金がなくなり、初めて警察に相談します。そこで自分が土地を買う契約を交わしていたことが発覚します。
途方に暮れる山本さん
山本さんは自分が詐欺にあっていたことにようやく気づき、353万円の返還と自分が所有者になってしまった土地の返却を求めて国民生活センターに相談しました。
が、相手はのらりくらりでラチがあかずなんら解決策を見出すことはできませんでした。
結局、山本さんは353万円を支払って、もともとの相続した土地にさらにもう一つ価値のない土地を所有することになったという詐欺事件でした。
にしても山本さんもちょっと騙され過ぎではないでしょうかね…
投稿者プロフィール
- やまねこ不動産株式会社の代表取締役です。
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