不動産の所有権を放棄できるようにしようという動きがありますので、これまでの動きと今後の展望をまとめてみました。
結論から書くと、一連の動きはあくまでも行政側メリットからの動きです。個人が勝手にいらない土地の所有権を放棄できるようになるというわけではありません。行政からすると固定資産税という重要な財源がなくなりますので、今後も所有権放棄の立法化は厳しいでしょう。
まず発端は平成29年12月に公表された所有者不明土地問題研究会(一般財団法人国土計画協会)の最終報告です。
それによれば「平成28年時点の所有者不明土地面積は、地籍調査を活用した推計で、約410万haあり、九州(土地面積:約367万ha)以上に存在する」らしいのです。
九州以上ってかなりの面積になりますが、別に所有者不明な土地があっても、特に困らないのではないかとも思います。
が、市町村からすると固定資産税の徴収がまずできません。そしてこの頃からいわゆる空家問題が社会問題化し、国としても法整備の必要性がでてきました。
空家問題とは、市街地においてボロボロの空家が放置されていて、環境悪化、防災上の支障となるなど、近隣に多大な迷惑をかけている空家が多数存在するものの、その対応が法的に制限されている問題です。
近隣の方は行政になんとかしてれと苦情を申し込むのですが、あくまでも私有地につき行政も手出しできませんでした。私有地といっても登記簿上の所有者はすでに死亡しているとか、その相続人もわからないとか、わかるけど連絡が取れない等の理由で行政としてもそれ以上手の打ちようがなく、放置せざるを得ないという状況が続いていました。
こうした経緯を背景に平成30年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が成立し令和元年6月に施行されています。
この特別措置法のポイントは以下の通りです。
地域福利増進事業であれば(地方公共団体だけでなく、民間企業、NPO、自治会、町内会等でも)、都道府県知事に裁定を申請し、所有者不明土地に対する土地使用権を取得して事業を行うことができる
。
というものです。
この他、その土地への立入り権限や障害物の撤去などの権利が厳しい条件つきながら認められるようになりました。
施行後、実際にこれを適用した例が出ているようですが、そもそもなぜ所有者不明土地ができるのか、その原因を解消しないといけないというのが次の動きになります。
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[…] 家の放置問題をいかに解消するかというところから議論が出発しています(土地の所有権放棄を巡るこれまでの議論を参照)。山奥のとんでもない土地を相続してしまい、売るに売れなくて […]